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ATOMIC、サロモン|SHIFT(シフトビンディング)使用レポート

ATOMIC、サロモン|SHIFT(シフトビンディング)使用レポート

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SHIFTビンディングはアルペンビンディングとテックビンディングを融合させたハイブリッドビンディングと言える画期的な製品です。トゥーピースをワンタッチで通常のアルペンビンディングの形状からテックビンディングの形状に変更(変形)することが出来ます。またヒールピースはブーツのヒールコバをホールドする形となっており高い保持力を持っています。ウォークモードでは通常のテックビンディングと同じく、トゥのピンを用いて歩行する形となっています。これだけの機能を備えながらも865g(1/2ペア)の軽量設計が実現されています。従来バックカントリースキーのギア選びでは、テックビンディング/ツアービィンディング/アルペンビンディングから滑走スタイルやスキー板の形状に合わせてビンディングを選ぶことが大きな悩みでした。この軽量性と高い保持力を持つSHIFTの登場により「その悩みから解き放たれる」と言うことが出来ます(もちろん超軽量のテックビンディングを使用する必要があるアルピニスト等には別の話です)。SHIFTはサロモン、アトミックから同性能の製品が発売されておりますが、今回はアトミックブランドの製品を用いて使用レポートを作成します。

※当レポートは当サイトでの使用フィーリングをお伝えするものであり、詳細情報はメーカーホームページや、取り扱い説明書、プロショップ等でご確認ください。

shift_front_modeChange

トゥーピースのモード切替の様子。”SKI”と書かれているレバーを操作することで、ワンタッチでスキーモード(アルペンビンディング形状)とウォークモード(ピンテック形状)を切り替えることが出来ます。

shift_front_lever

ウォークモードの様子。通常のテックビンディングと同じくブーツのトゥー側はピンでロックされ、ヒールがフリーになっている様子。※注意:写真ではトゥー側のレバーが下がっておりロックされておりませんが、通常、歩行モードではレバーを上げロックする必要があります。

モード切替(スキーモード/歩行モード)

shift_mode_comparison_front

まずはトゥーピース側をスキーモードから歩行モードに切り替えます。ブーツ先端コバを保持する部分が切り替えレバーとなっており(写真のSKI/WALKと書かれた白い部分)、これを下部に下げることによりサイド部が開くと同時にピンが出現します。

kingPin_modeSwitch

前方の白いレバーを下に下げることによりピン部が更に広がりブーツトゥーのピンホールにビンディング側のピンを挿入することが出来ます。マーカーのキングピンや、G3のIONはガイド部にステップインすることにより「バチン」とピンが挿入されますが、SHIFTの場合は手を使って装着する必要があります(この点は多少残念なポイントです)。

shift_mode_comparison_rear

ヒールピース側はまず、SKIと刻印のあるレバーを引き上げます。そうするとWALKの文字が見えるようになります。あとはそのまま、ブーツかかとでステップインします(踏みこむ)。

shift_rear_walk_stopperUp

上記の通り、ブーツかかとでステップインしますが、その際にブレーキが上がり、収納されます。歩行モードでの装着後、忘れずにトゥーピース側をロックする必要があります(前方の白いレバーを上げます)。以上で歩行モードへの変更は完了です。

歩行モード

shift_modeComparison_fromTop

トゥーピースが開くこと(ピン部が開く)ことによりスペースが生まれ、その分スキーブーツがスキーモードより前方で固定されることとなっています。ブーツが前方に移動することによりヒール部にヒールフリーのスペースが生まれるます。参考までにですが、キングピンはレバーを動かすことでヒール部が後ろに移動する、IONはヒール部が横向きになることでヒールフリースペースが作られています。

shift_climbing_aid

クライミングエイドは1段階のみの設定で10度となっています(マーカーキングピンは7度と13度の2段階設定)。1段階でも十分との声が多数の様です。クライミングエイドがヒールピースの前方に位置している為、その切り替えには慣れが必要です(切り替えている姿も格好良いとは言えません。上記写真を参照下さい)。尚、キングピン、IONはヒール後方に配置されています。

スキー脱着に関して

スキーモードの際は通常のアルペンビンディングと全く同様で非常に簡単です。ゲレンデで滑走する際には非常に便利です。歩行モードでの装着は上述の通りトゥー側レバーを手もしくはストックで押す必要がありますのでこの点は他のテックビンディングに比較してネガティブなポイントです。また、ステップインに際しヒールピース側(リア)の踏み込み時に通常のビンディングに比べ力が必要な感じを受けました(不安定な深雪上では多少苦労しました)。

スキー滑走時のフィーリング

コンセプト通り、スキー滑走時には十分な性能を発揮してくれます。特にトゥー/ヒールピース間にプレートの様な板の「たわみ」を妨げるような構造物はないため、板のたわみを十分に引き出してくれます。もちろんスキー板の性能にもよりますが、パウダーの中でのたわみは十分に感じることが出来ました(テストではATOMICベンチュラー120とセットで使用)。また解放への安全性も追求している製品であり、滑走中(テスト中)に誤解放は発生しませんでした(ゲレンデ:5日、バックカントリーツアー:3日の期間)。ハードな滑りをするスキーヤーにとっては非常に安心感の高いビンディングと言えます。バックカントリー・パウダー向けの板を使う方でもグルーミングバーンでのカービング性能の高い板を好むスキーヤーに特におすすめです。「まだバックカントリーはしないけど、将来的にはバックカントリーもしたい」という方にもおすすめ出来るでしょう。