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バックカントリー向けスキーブーツの選び方

1.スキーブーツ(バックカントリー向け)の種類

バックカントリー用スキーブーツは大きく分けてATブーツ(ツアリングブーツ)、フリーライドブーツの二つに分類されます。尚、テレマークスキー向けブーツの紹介は当サイトでは割愛させて頂きます。

①ATブーツ(ツアー用)

山岳ツアー等、山での総合的な使用を考慮して開発されているブーツを指します。滑走モードと歩行モードの切り替えができる為「兼用ブーツ」とも言われております。 登山を行うことも念頭に置いて設計されているため、軽さと、歩行モードでの可動域の広さ、そして歩行しやすいソールの形状(反りがあり、ゴム底のブロックソールのものが多い)がその魅力と言えます。 歩行・登山距離が長いバックカントリーユーザーにおすすめです。一方でフリーライド系ブーツに比べフレックスが柔らかく、滑りを重視するスキーヤーには不満が残ります(ATブーツの一般的なフレックスは110以下)。 ほとんどの製品はテックビンディング対応となっています。

(例)SCARPA

マエストラーレRS2

サイズ:25cm~31cm

フレックス:-

ラスト幅:98mm

重量:1,410g/27cm

(例)SALOMON

S/LAB(Sラボ)MTN

サイズ:24.5cm~28.5

フレックス:110

ラスト幅:98mm

重量:1,576g/26.5cm

②フリーライドブーツ

ATブーツに比べてシェル硬度が高く、カフも深めに設計されています。フレックスは110-130のもの多くで、基礎スキー上級者・エキスパート用の硬度に近いと言えます。 滑走感覚はアルペンブーツに近く滑り重視のスキーヤー、通常のゲレンデでの滑走も楽しみたいスキーヤーにおすすめのタイプです。 上記のATブーツに同じく歩行モードへの切り替えが可能ですが、ATブーツ比べてその可動域は狭くなります。 数時間の登行レベルのバックカントリースキーにはフリーライド系ブーツがおすすめと言えます。 テックビンディングに対応しているモデルと、そうでないモデルがありますので、ビンディングとの適合性は要注意です。 通常のスキーブーツに見た目が近く、通常のアルペンビンディングに装着できそうな印象を持ちますが、装着できないモデルが多く存在することを留意ください。 モデルによってはソールを交換することにより、アルペンビンディングに装着できるものもあります。 また、一般的にATブーツに比べて重量は重いと言えますが、最近ではフリーライド系ブーツでありながらも、1500g/片足を切るブーツも発売されています。

(例)アトミック

HAWX ULTRA XTD130

HAWX_XTD_130

サイズ:24cm~29.5cm

フレックス:130

ラスト幅:98mm

重量:1,450g/26.5

(例)ノルディカ

STRIDER PRO 130DYN

STRIDER_130

サイズ:24.5cm~28.5

フレックス:130

ラスト幅:98mm

重量:1,900g/26.5

2.ブーツの重量に関して

ATブーツは850g ~1850g程度のレンジで、フリーライド系は最新の軽いもので1400g弱、重いものでは通常のスキーブーツに近く2200 g 程度のレンジとなっています。 登行時の負担軽減と滑走時の俊敏性を考えれば軽量のものがベター言えますが、その分フレックスやその他の機能にも影響が出る為、一概に軽いブーツが良いとは言えません。 他のポイント(自分の求めるスタイル、フレックス等)も考慮してベストマッチなブーツを選ぶことをお勧めします。 最近では技術の進歩に伴い滑走性能が高いブーツであっても軽量化を実現したブーツも発売されてきています。

3.ブーツのフレックスに関して

フレックスはスキーブーツの「硬さ」を指し数値が高いほど硬くなります。レーシング用ブーツは120~150、基礎スキー用では100~130が一般的です。 フリーライド系上級者向けブーツでは110~130のものが多く、基礎スキー上級者・エキスパートレベル向けのものに近いフレックスのものが多いと言えます。 120-130はバックカントリー向けとは言え、それなりに高い技術を要するものであると言えます。 バックカントリーを始めたいが、それほど滑りに自身が無いスキーヤーにはフレックス100~110程度のものがおすすめです(そのようなバックカントリースキーヤーに主眼を置いたモデルも発売されています)。フレックスはメーカーによって基準が微妙に違いますので留意が必要です(一般的には各社の最上級モデルを150として換算している場合が多いです)。

4.歩行モードの可動域に関して

ATブーツ、フリーライドブーツともに、基本的に歩行モードへの切り替え機能が付いています。 右表のように歩行モードでの可動域はATブーツがフリーライドブーツに比べ広い傾向にあります。 最近ではATOMICのHAWX ULTRA XTDシリーズのようにフリーライドブーツでありながら、非常に広い可動域を持ったブーツも発売されています。 また可動域では後ろ方向の可動域の広さも重要になります。 後ろへの可動域が広いほどシール登行でスキー板を前方に出しやすいからです。

ウォークモード可動範囲例

種類 メーカー モデル 可動範囲
AT(ツアー) SCARPA マエストラーレRS2 59度
エイリアンRS 72度
DYNAFIT TLT7 60度
Winter Guide GTX 60度
フリーライド テクニカ コーチス130 DYN 44度
ノルディカ STRIDER PRO 130DNY 46度
ATOMIC HAWX ULTRA XTD130 54度

5.ブーツのラスト幅に関して

最近のブーツは「ラスト幅」と言うものが示されています。これは足の一番広い部分のの幅を指しています。 90-100mmが一般的なレンジです。ここ最近では各社とも複数のラスト幅をラインナップしており、スキーヤーは自分の足の形状にあったブーツを選択しやすくなっています。 一般的に上級者・エキスパート向けのモデルはラスト幅が狭い傾向にあります(ブーツがしっかりと強固に足を包むことで微細な動をスキー板に伝える必要がある為)。 一方でラスト幅に余裕がありすぎると、足がブーツ内部で左右に動いてしまいスキー操作に影響を与えてしまいます。